「5年経っても動けない」元看護師が国を提訴
新型コロナワクチン接種後の健康被害をめぐる記者会見で語られたこと
2026年8月12日、大阪府庁記者会見室で、新型コロナワクチン接種後の健康被害を訴える女性と弁護団による記者会見が開かれました。
会見では、2021年6月にワクチンを接種した直後から重い症状が現れ、現在も日常生活に大きな支障が残っているという元看護師の女性が、自身の経過と国への思いを語りました。
女性は今回、国のワクチン政策や情報提供に問題があったとして、国家賠償などを求める訴訟を東京地方裁判所に提起したと説明されています。
接種直後に倒れた元看護師
会見で女性が語ったところによると、2021年6月12日、勤務先の集団接種会場でファイザー製ワクチンを接種した約5秒後に倒れたといいます。
その後、激しい動悸、血圧の急上昇、手足のしびれ、呼吸困難、頭痛、吐き気などの症状が現れ、救急外来を受診したと説明しました。
さらに、接種後46日間にわたり、動悸や血圧上昇の発作が複数回起こり、その後は立位や座位を数秒しか保てなくなったといいます。仕事を続けることも難しくなり、長期間、家族の支援を受けながら生活したと話しました。
現在も、長時間歩く際には車いすを利用し、十分に回復したとはいえない状態が続いていると説明されています。
女性は会見で、接種後に一度に多くの症状に襲われた苦しみについて、「生き地獄」という言葉で表現しました。この発言からは、身体的な苦痛だけでなく、周囲に理解されない孤独や、将来への不安も伝わってきます。
健康被害救済制度は否認
女性は、予防接種健康被害救済制度にも申請したものの、認められなかったと説明しました。
会見で弁護団が説明した内容によると、救済制度の審査では、接種直後に倒れたことについては通常起こり得る副反応の範囲内とされ、その後に歩行困難となったことについては、接種から時間が経過しているためワクチンとの因果関係が認められないと判断されたといいます。
女性側はこの判断を不服として審査請求を行いましたが、こちらも認められず、訴訟を提起するに至ったと説明しました。
ここで注意しなければならないのは、健康被害救済制度の認定と、国家賠償訴訟の判断は別の手続きだという点です。救済制度で不認定となったからといって、裁判で必ず請求が認められないと決まるわけではありません。一方で、裁判では接種と症状との因果関係を、診療記録や医学的意見などによって具体的に示す必要があります。
弁護団が示した二つの法的構成
弁護団は、今回の訴訟について大きく二つの法的構成を説明しました。
一つ目は、国家賠償法に基づく損害賠償請求です。
この主張では、ワクチン接種によって生じた健康被害と接種との間に相当因果関係があることを前提として、国に過失があったかどうかが問題になります。
弁護団は、国がワクチンの安全性や副反応に関する情報を十分に提供せず、接種を受ける人が判断するために必要な説明がなされなかったと主張しています。また、健康被害が生じる可能性のある人を識別するための予診や体制が十分でなかったという点も問題として挙げました。
二つ目は、憲法上の権利などを根拠とする損失補償請求です。
この考え方は、国の政策が違法でなかったとしても、社会全体の利益のために特定の個人が特別な犠牲を負った場合、その損失を社会全体で補償すべきではないかというものです。
会見では、予防接種が公衆衛生という公共目的のために実施される一方、重い健康被害を受けた人には、一般の人とは異なる大きな負担が集中する場合があると説明されました。
もっとも、この法的構成が今回の事案で認められるかどうかは、今後の裁判所の判断に委ねられます。会見でも、損失補償については裁判例の考え方が分かれている論点であると説明されています。
因果関係をどう立証するのか
訴訟で大きな争点となるのが、ワクチン接種と健康被害との因果関係です。
弁護団は、裁判上の因果関係について、自然科学的に100%証明する必要があるというより、経験則に照らして、その事実が結果を発生させたといえる高度の蓋然性があれば足りるという考え方を示しました。
会見では、因果関係を判断する事情として、次のような点が挙げられました。
- 接種と症状の発生時期が近いこと
- 接種以外の原因が考えにくいこと
- 症状が強く、客観的に確認できること
- 医学的・科学的に発症メカニズムの説明が可能であること
ただし、これは弁護団が示した主張であり、裁判所がそのまま認めた判断ではありません。実際の裁判では、接種前の健康状態、接種後の症状の推移、他の疾病の可能性、検査結果、医学文献などが総合的に検討されることになります。
岡田名誉教授による医学的説明
会見では、医療アドバイザーとして参加した岡田正彦氏から、mRNAワクチンの仕組みや臨床試験データについての説明も行われました。
岡田氏は、ワクチンの有効率として広く知られた「95%」という数字について、相対リスク減少率と絶対リスク減少率の違いを説明しました。また、臨床試験データの扱いや、発表された論文の分析方法について疑問を呈しました。
さらに、接種後に生じた症状について、アナフィラキシー、免疫反応、神経症状などの可能性を挙げ、今回の原告の症状を医学的に説明しようとしました。
ただし、これらは会見における岡田氏の見解です。特定の人の症状がワクチンによって発生したと判断するには、個別の診療記録、検査結果、他の原因の有無、専門医の評価などを慎重に確認する必要があります。
このブログで紹介しているのは「ワクチンによって必ずこの症状が起きる」と断定するのではなく、
> 会見では、こうした医学的メカニズムの可能性が説明された
という形で記載しております。
被害を受けた人が抱える負担
会見で印象的だったのは、健康被害そのものだけでなく、救済を求める手続きの負担についても語られたことです。
体調が悪く、文字を読んだり書類を作成したりすることが難しい状態でも、申請書類を準備しなければなりません。医療機関から診断書を取得し、接種記録や診療記録をそろえ、症状の経過を説明する必要があります。
さらに、申請先の自治体担当者が制度に詳しくない場合、手続きが思うように進まないこともあると、会見では指摘されました。
(私も同様な事例を多く経験しております)
健康被害を受けた人にとっては、症状に苦しみながら、同時に複雑な行政手続きを行わなければならないことになります。本人だけで対応するのが難しい場合、家族、医療ソーシャルワーカー、行政書士、弁護士などの支援が重要になります。
同じ被害を訴える人への影響
記者からは、今後、同じような被害を訴える人が集団訴訟に加わる可能性について質問がありました。
これに対して主催者側は、健康被害救済制度で認定された人、不認定となった人、まだ申請していない人など、それぞれ状況が異なるため、集団訴訟にするか、個別に対応するかは今後検討していくと説明しました。
同じ「接種後の健康被害」であっても、症状の種類、発症時期、治療内容、接種前の健康状態、救済制度の結果は人によって異なります。
そのため、被害を訴える人がすぐに一つの主張にまとめるのではなく、まずは自分自身の経過と証拠を整理し、専門家に個別に相談することが大切です。
被害を訴える人が準備すべき資料
今回の会見を見て、自分も接種後の症状について相談したいと考えた場合、まず次の資料を整理するとよいでしょう。
接種に関する資料
- 接種日
- 接種した医療機関や会場
- ワクチンの種類
- ロット番号
- 接種済証
- 予診票(私は破棄されていました)
- 接種当時の説明資料
症状に関する資料
- 症状が出た日時
- 症状の内容
- 救急搬送の有無
- 受診した医療機関
- 検査結果
- 診断書
- 治療内容
- 現在の症状
損害に関する資料
- 医療費の領収書
- 通院交通費
- 休業期間
- 収入の減少
- 介護費用
- 車いすなどの購入費
- 家族が介助した時間
特に大切なのは、接種前から症状があったのか、接種後に初めて症状が現れたのかを明確にすることです。健康診断の記録や、接種前の診療記録がある場合は、重要な資料となる可能性があります。
この裁判が問うもの
今回の訴訟は、原告本人の損害賠償だけを求めるものではありません。
会見で原告は、国がワクチン接種を強く推奨したのであれば、健康被害が生じた人に対して責任を取ってほしいという思いを語りました。また、十分な情報公開と、被害を受けた人に寄り添う調査や救済を求めました。
一方で、裁判では感情的な訴えだけでなく、接種と症状との因果関係、国の情報提供や制度運用に関する違法性、損害の具体的な内容を証拠によって示す必要があります。
今後、裁判所がどのような事実認定を行い、国家賠償請求や損失補償請求についてどのような判断を示すのか、注目されます。
おわりに
今回の記者会見では、ワクチン接種後に長期間苦しみ続けている当事者の声と、国の責任を問おうとする弁護団の法的主張が示されました。
動画内では、医学的な見解やワクチン政策への批判も述べられていますが、それらは登壇者の主張であり、裁判所による確定判断ではありません。読者が誤解しないよう、事実関係、当事者の説明、専門家の見解、今後の裁判上の争点を分けて紹介することが重要です。
私もこうした闘いを通して大事にしているのは
「怪物を倒す者は、自分が怪物にならないように気をつけなければならない」
ニーチェの有名な言葉を胸に刻んでいます。
接種後に健康上の不安がある方は、症状を放置せず、医療機関で診察を受けたうえで、接種記録や診療記録を整理してください。予防接種健康被害救済制度を利用できる可能性もあるため、接種時に住民票があった市区町村の担当窓口へ相談することが第一歩になります。
